2012年4月16日月曜日

古代のメソポタミア:初期農耕牧畜民(17)動物



 『出典』図説世界文化地理大百科:古代のメソポタミア・36~37頁
     マイケル・ローフ著・松谷敏雄監訳
     朝倉書店

 古代のメソポタミア:初期農耕牧畜民

 野生動物のなかでも、家畜化に成功したのはいくつかの種だけである。

 それらには、

 オオカミ、ペゾアールヤギ、アジアムフロン、イノシシ、

 オーロクス、ヤマネコ、野生ロバなどがある。

 すべて近東にもともといた種であり、

 それぞれ

 イヌ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、ロバの

 祖先であったと考えられている。

 こうした家畜は、ニワトリも加えて、

 今なお世界中でもっとも一般的な家畜、ペットでありつづけている。

 メソポタミアの動物についての情報源は三つある。

 すなわち、発掘された骨、古文書中の言及、および絵画表現である。

 動物骨の研究からは、種がわかるだけでなく、その動物の性や年齢、

 さらに患っていた病気までわかることがある。
 
 古代の文書には、

 動物の名前の一般的なリスト、

 神殿動物についての経済関係の記録、

 なにかの前兆となる動物についての観察、

 あるいは王侯たちが特別な庭をつくって

 狩りをしたり飼育したりしていた動物のリストなどが載っている。

 家畜、野生動物、架空の動物を含めて、

 古代近東の記念建築や円筒印章には

 さまざまな動物の絵が描かれている。

 それらには、ゾウやハエ、ワシ、力二、さらにヘビ、カメ、魚などもあったが、

 もっともよく描かれたのはライオンや雄ウシなど

 メソポタミア文化で重要たった動物である。

 家畜動物    野生の祖先   地域      年代

 イヌ      オオカミ    近東      前1万1000年頃

 ヤギ      ぺゾアールヤギ 近東      前8500年頃

 ヒツジ     アジアムフロン 近東      前8000年頃

 ブタ      イノシシ    近東      前7500年頃

 ウシ      オーロクス   近東      前7000年頃

 ネコ      ヤマネコ    近東      前7000年頃

 ニワトリ    バンキヴァ野鶏 中国      前6000年頃

 ラマ      グァナコ    アンデス    前5000年頃

 ロバ      野生ロバ    近東      前4000年頃

 ウマ      ターバン    南ロシア    前4000年頃

 ラクダ     野生ラクダ   南アラビア?  前3000年頃

                 南中央アジア?

 テンジクネズミ ケイビー    ペルー     前2000年頃

 ウサギ     ノウサギ    スペイン    前1000年頃

 七面鳥     野生七面鳥   メキシコ    前300年頃


 「写真」ニネヴェ、アッシュールパ二パル王(前668-27頃)の北宮殿の浮彫り

 アッシリア人が狩猟川に飼っていた、一種のマスチフ犬が描かれている。

 イヌは最古の家畜動物である。

 エリドゥウバイド期の墓地(前5000年頃)で

 みつかったイヌの骨はグレイハウンドと鑑定されている。

  「写真」古代近東の草原にいたガゼルの群れ、

 ニネヴェ北宮殿出土のこの浮彫り(細部の拡大)に描かれている群れは、

 勢子に追われており、

 矢を射る構えをして穴に隠れているアッシリア王の方に向かって逃げている。

 「写真」ヒツジの頭形土偶

 ウルク出土の前3000年頃の砂岩製石偶と類似している。

 ヒツジはメソポタミアでは、つねに最重要の家畜でありつづけている。

 毛織物は主要な輸出品の一つとなっていた。長さ13.6cm

 「写真」ニネヴェのアッシュールパ二パル王の北宮殿出土の浮彫り

 ラクダに乗ったアラブ人が、侵攻するアッシリア軍から逃げている。

 ラクダは前2千年紀後半にメソポタミアに導入された。

 フタコブラクダは中央アジア原産で、イラン山中に生息していた。

 ヒトコブラクダはおそらくアラビア半島原産で、

 南の砂漠地帯でみつかっている。

 ラクダは運送用には利用されたが、戦闘には使われなかった

 「写真」アララクのニクメバ宮殿出土の象牙製箱(前14世紀)

 首と蓋の欠損部は木で修復されている。

 アヒルやガチョウはメソポタミアでは少なくとも前2500年、

 おそらくはそれよりかなり前から飼われていた。長さ13.5cm

 「写真」

 これらの奇妙な動物はカルフのシャルマネセル3世(前858-25)の

 「黒いオベリスク」に彫られているもので、

 ムツリ(おそらくエジプト)からの貢ぎ物の一部であった。

 一番前の動物(左)は川ウシ(おそらく水牛)と呼ぱれている。

 二番目はサイかもしれない。

 三番目はヤギの一種のようである。

 ムツリからもちこまれた動物には、

 ほかにフタコブラクダ、ゾウ、サル、ヒトニザルなどがあった。

 言語復原史学会
 言語復原史学会
 言語復原史学会

 『参照ブログ』
 古代メソポタミア
 ウワイト(倭人):大学講義録
 ウワイト(倭人)大学院講義録 
 古代史ブログ講座
 歴史徒然
 ネット歴史塾
 オリエント歴史回廊(遷都)    
 古代史の画像 
 「終日歴史徒然雑記」
 「古代史キーワード検索」         
 ひねもす徒然なるままに  
 古代史つれづれ

 《参考》
 古代時代の考古学の最新発見・発表・研究成果
 最新の考古学的発掘の方法
 存在価値が問われる我が国の発掘考古学の現状

0 件のコメント:

コメントを投稿