2012年4月22日日曜日

文明への道(前7000-4000年)(4)壁画



 『出典』図説世界文化地理大百科:古代のメソポタミア・43頁
     マイケル・ローフ著・松谷敏雄監訳
     朝倉書店

 『文明への道

 「文明への道

 『(前7000-前4000年)
 「(前7000-前4000年)

 《壁画
 「壁画

 この遺跡でみつかった部屋のなかには、

 見事な壁画をもつもの、壁に浮彫りのついたもの、

 雄ウシの頭や角をかたどった像を据えたベンチ、

 柱をもつものなどがあった。

 こうした装飾が一般の家にあるというのは不自然だし、

 不便とも考えられるから、

 それらの部屋はおそらく祠堂であったと思われる。

 しかしながら、これらの「祠堂」の数

 (第6、7層では発掘された家の約3分の1に達する)は驚くほど多い。

 それらが純粋に宗教的用途に供されたものだとすると、

 発掘区が集落の宗教地区にあたっていたのかもしれない。

 それとも、それらは特殊な型式の住居だったのだろうか。

 建物の壁や床は白色の細かい粘土で何層にも上塗りを施されていた。

 ある建物では120層にもなっていた。

 上塗りはおそらく毎年くり返された

 (同一の生活面出土の建物にはほぼ同じ数の上塗りがなされている)

 とみられるから、

 それらの建物の寿命を考えるヒントにもなる。

 色を塗った部屋をみると、

 塗色面は何層ものふつうの上塗りにはさまれていることがわかつた。

 したがって、

 色は次の上塗りがなされるまでの短期間しかみえなかったということになる。

 なぜ、人々がときどき壁に色を塗っていたのかはわからない。

 ともあれ、

 それが腐らないて残っていたのは

 上塗りに塗りこめられていたことによるところが大きい。

 塗料は細かい毛のブラシで塗られた。

 そのほとんどはアナトリアで自然に産出する鉱物からつくったものである。

 たとえば、

 赭土藍銅鉱孔雀石辰砂マンガン方鉛鉱などが用いられた。

地は白か薄いクリーム色で、

 おもな色は赤か赤褐色だったが、黄色、黒、灰色、藍色、青も使われた。

 壁画の多くは柱と柱の間の一面におさまるものだったが、

 なかにはもっと大きなすばらしいものもあった。

 真っ赤に塗られたもの、幾何学模様のつけられたもの、

 人や動物を描いたものなどがあった。

 専門家のなかには、

 そうした模様をトルコで伝統的につくられている

 じゅうたんの模様に対比する人もいる。

 しかしながら、

 当時いろいろな色の紡ぎ糸で織物が織られていたという証拠はほかにはない。

 もっとも興味深い絵は、具象的なものである。

 写実的なものもあれば、様式化されたものもある。

 人の手を並べで描いたものもあり、

 ところどころ裏返しになっている場合もある。

 これらは後期旧石器時代によくある芸術を思いおこさせる。

 しかし、この地方では今日でも同じモティーフで家を飾ることがある。

 層は異なるが、

 二つの「祠堂」で狩猟の光景が見事に描かれた絵がみつかった。

 どちらも北側の壁に2mくらいの長さの巨大な雄ウシが赤で描いてあって、

 そのまわりをヒョウの毛皮のふんどしをつけた小さな人物が

 数人踊っているものたった。

 人物の多くは男性で、皮膚は赤く塗られていた。

 この二つの層よりも古い第V層の例では、

 絵は壁四面につなかっていて、

 シカ、イノシシ、野生ロバ、クマ、オオカミ、ライオンなど

 ほかの動物も描かれていた。

 そうした絵に描かれていたのは正確な狩猟の光景ではなく、

 おそらくなんらかの象徴的な意味をもっていたのだろう。

 踊りと、ミノア文化の跳牛やスペインの闘牛のような動物を使った

 催しなどからなる祭を表現したものかもしれない。

 しかしながら、

 第Ⅴ層の祠堂では、一部しか残⊃ではいないが、

 男性のハンターがイヌらしき動物をつかって

 雄シカを矢で射ている絵が発見されている。

 もう一つ奇妙な絵がある。

 それは三つみつかっているのだが、

 大きな鳥と頭のない小さな人間が描かれているものである。

 様式化された絵ではあるが、

 その鳥は死体の肉をついばむシロエリハゲワシだとみられている。

 もっと下層(第Ⅵ層)からもやはり死者に関すると思われる絵が発見されている。

 そこには、葦とむしろででさた納骨堂が描かれているとされている。

 織物が敷かれ、その下に目のくぼんだ頭骨がおかれている。

 言語復原史学会
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 『参照ブログ』
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 《参考》
 古代時代の考古学の最新発見・発表・研究成果
 最新の考古学的発掘の方法
 存在価値が問われる我が国の発掘考古学の現状

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