2012年4月11日水曜日

古代のメソポタミア:初期農耕牧畜民(13)無土器新石器時代



『出典』図説世界文化地理大百科:古代のメソポタミア・33頁
     マイケル・ローフ著・松谷敏雄監訳
     朝倉書店

 古代のメソポタミア:初期農耕牧畜民

 《新石器時代の村
 「新石器時代の村

 《無土器新石器時代
 「無土器新石器時代

 無土器新石器時代(レヴァント地方では先土器新石器時代B、C期に相当)は前8500年頃に始まる。

 この時期は集落の数も大きさも増加し、空間的にも分布が広がる。

 この時代の終わり、前7000年頃には、

 アブ・フレイライェリコ、ペイサムン、パスタなどの遺跡では

 それぞれ集落が10haくらいに達しておリ、1000人以上の人目を擁していた。

 社会組織にも進んだものが要求されていたものと思われる。

 しかしながら、無土器新石器時代の遺跡すべてがそんなに大きかったわけではない。

 1haにも満たない小さなものがたくさんあった。

 穀物栽培、家畜飼育を宮む定住村落は、

 アナトリアイラン高原でも営まれていたし、近東全域に広がっていた。

 人々はオオムギ、一粒コムギ、エンメルコムギを栽培しており、

 この時期が終わる頃までには、

 亜麻スペルタコムギクラブコムギパンコムギも栽培化していた。

 動物ではヤギ、ヒツジ、ブタが飼われており、

 後にはウシも飼われるようになった可能性がある。

 しかし、狩猟採集もなお経済の重要なー一部となっていた。

 集落のなかには,たとえばシナイヨルダン砂漠などのもののように、

 農耕が行われた形跡のまつたくないものもある。

 この時期の遺跡でも、初期のものや、短期的な狩猟野宮地では、円形住居がなお一般的だった。

 しかし、ペトラ近郊のペイダという小さな遺跡でみられるように、

 もっと複雑な長方形の住居へ移行していく傾向がある。

 ペイダでは古い層では円形の半地下式住居であっだのに対し、

 新しい尉からは長方形ないし多角形の建造物がみつかっている。

 大きさは5-7m☓6-9mで、

 床が茶色ないし赤色でぬられている長方形の部屋をもつ家もあった。

 上階の基礎,ないし地下室らしいものもみつかつてでいる。

 石、骨、貝でつくったビーズのつまった部屋、材料用の角が入った部屋、

 あるいは精肉場のような部屋もみつかつている。

 農耕牧畜村落ならたいてい、建物は長方形の部屋でつくられていたが、

 建て方はさまざまだつた。

 壁には石壁、泥壁、日干しレンガ壁があつたし、

 日干しレンカIには手づくねで泥の目地をくっつきやすくするために

 指で上面をへこmかせたものもあったし、

 枠でつくった長方形のレンガもあった。

 床は泥をぬったり、漆喰を厚く貼ってそれを磨き、

 赤や茶色にぬったものもあつた。

 橋桁のようなものをつけた部屋もあった。

 その目的は防湿ないし防寒・断熱と思われる。

 ヨルダン南部

 パスタ遺跡では床の下から石の板言おおった細長い溝がいくつかみつかった。

 類似した遺構はグリルプランと呼ばれ、

 床下に石や葦を敷いたものが

 トルコ南部のチャユヌ、東イラクのジャルモ遺跡で発見されている。

 チャユメでは小石を敷きつめて一種のモザイク床にしたものもみつかっている。

 チャユヌの新しい層では,基礎部に壁を交差させてつくった

 橋桁状の構築物をもつ部屋(セルブランと呼ばれる)や、

 集団内の儀礼活動を行ったらしい大形の部屋も発見されている。

 ユーフラテス川畔、ハブール川との合流点近くに位置する

 ボクラスは無土器新石器時代末から営まれた村落遺跡である。

 建物は発掘もなされているが、

 地表直下のものは雨が異常に多く降ったある冬の後、地面に現れできた。

 家は長方形をしており、5m☓7mくらいがふつうだった。

 細長いものや小さいものも含めて、一軒あたり九つの部屋をもっていた。

 家々は互いにくっつきあっていて、同じ方向を向いて並んでいた。

 家と家の間には細い小道がついていた。

 テル・マグザリーヤ遺跡も無土器新石器時代後半から住まれた遺跡だが、

 規模は小さく、おそらく1haにも満たない。

 高さ2mくらいの石壁で囲まれており、現在もなお残っている。

 小川の土の丘に位置していることからみると、

 この遺跡では(イェリコと違つて)洪水を防ぐ必要はないから、

 石壁は外敵に対する防御施設だった可能性もある。

 しかし,この時期、戦争があったという証拠はほとんどない。

 言語復原史学会
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 『参照ブログ』
 古代メソポタミア
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 《参考》
 古代時代の考古学の最新発見・発表・研究成果
 最新の考古学的発掘の方法
 存在価値が問われる我が国の発掘考古学の現状

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